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グリア細胞とは?わかりやすく簡単に解説!種類や機能、役割や働き、シュワン細胞との違いについて

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院長 黒木 良和

九州大学医学部卒
九州大学大学院修了 医学博士
川崎医療福祉大学客員教授
元神奈川県立こども医療センター所長
元聖マリアンナ医科大学客員教授

「記憶力が衰えてきた」と感じる機会は、歳を重ねるにつれてどうしても増えてきます。しかしその一方で、平均寿命を超えるような世代の中に、明晰な思考と会話力を保つ人が一定数いるのも事実です。

もちろん、そのような人たちの脳が、特別優秀というわけではありません。脳機能のメカニズムを理解したうえで、頭の健康にいい生活を心がけていれば、ほぼ誰でも長期的に若々しい脳を維持することが可能です。

そこで本記事では、脳を構成する主要な細胞「グリア細胞」について、仕組みや増やし方などを解説していきます。記憶力の低下に悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

グリア細胞=脳の健康を支えるための細胞

グリア細胞

脳細胞といえば、多くの人はニューロン(神経細胞)をイメージすることでしょう。実際、ニューロンは脳内に1,000億個以上存在します。しかしそのさらに10倍、1兆個以上の物量で脳を構成する細胞こそが、今回取り扱うグリア細胞です。

グリア細胞は主にニューロンへの栄養補給、および過剰な細胞の除去などを担います。加えて、有害細胞から脳を守る役割もあるため、脳内環境の維持にはグリア細胞の正常な働きが欠かせません。

また近年の研究では、グリア細胞がニューロンの健康管理だけでなく、神経伝達や血流制御といった脳機能に直接関わっていることも明らかになってきました。

グリア細胞の種類

グリア細胞

グリア細胞を構成する主要な細胞は、「アストロサイト」「オリゴデンドロサイト」「ミクログリア」「上衣細胞」の4種類です。それぞれがニューロンにもたらす効果を、以下で詳しく見ていきましょう。

アストロサイト

アストロサイトは、血管からニューロンへの栄養伝達を司る細胞です。具体的には、グルタミン酸をはじめとした神経伝達細胞の供給、およびグルコースを乳酸に変換してニューロンのエネルギーに充てる作業を担っています。

また、脳の健康維持への貢献も多大です。睡眠時には有害細胞の除去によって脳内の免疫を維持するほか、脳組織が損傷した際はアストロサイト自らが増殖することで炎症部を塞ぎます。

オリゴデンドロサイト

オリゴデンドロサイトは、ミエリンと呼ばれるニューロンの突起部を形成する細胞です。ミエリンは電気信号の伝達を直接担っており、運動機能や感覚機能を正常に保つにはミエリンの形状維持が欠かせません。

また、オリゴデンドロサイトからはNGF(神経成長因子)やBDNF(脳由来神経栄養因子)など、ニューロンの成長・増殖に関わる因子が多く分泌されます。

ミクログリア

ミクログリアは中枢神経系の免疫細胞として、脳や脊髄における神経伝達のエラーを常に監視している細胞です。そして実際にエラーが確認された際は、病巣部に集積して原因細胞の除去、およびオリゴデンドロサイトと同様の因子分泌を行います。

また神経伝達に異常がない時も、常日頃からグルタミン酸の活性量を制御することで、興奮毒性によるニューロンへのダメージを防いでいます。

上衣細胞

上衣細胞は脳室の壁を構成する形で存在し、その表層には大量の繊毛が生えています。この繊毛によって脳脊髄液を運搬し、栄養因子の輸送や有害物質の除去を担うのが上衣細胞の主な役割です。

また、脳脊髄液が成長ホルモンを含むことから、脳の発達段階におけるニューロンの増殖にも大きく関与しています。

シュワン細胞=末梢神経を形成するグリア細胞の一種

グリア細胞

グリア細胞のうち、末梢神経内でミエリンを形成している細胞がシュワン細胞です。末梢神経は脳や脊髄から枝分かれする形で全身に伸びており、主に脳からの指令を身体に反映させたり、逆に知覚情報を脳に届けたりといった役割を担います。また、末梢神経が損傷した際に病巣部の修復を行う作用などもあり、機能の全容は未だ解明されていません。

とはいえグリア細胞・シュワン細胞ともに神経を司る細胞である以上、増やす方法や減少する原因は概ね同じです。グリア細胞について理解し、その活動を妨げない生活を心がけていれば、脳機能のみならず身体全体の健康を長きにわたって保てることでしょう。

グリア細胞と脳機能の関係を示すデータ

ここで、グリア細胞と脳機能の関係を示すデータを2点ピックアップしておきます。

人のグリア細胞でマウスの記憶力が2.5倍に

過去にアメリカで、人のグリア細胞をマウスに移植する実験が行われました。そこではマウスの脳内を占めるアストロサイトが徐々に人型のものに置き換わっていき、最終的に記憶力が元のマウスの2.5倍に増えたことが確認されています。

それまでグリア細胞は、あくまでもニューロンの健康を支えるだけの細胞であり、神経伝達に直接の関与はしないと考えられてきました。しかし上記の実験結果は、グリア細胞が脳機能そのものに関わっていることを証明しています。それすなわち、グリア細胞を増やすための生活習慣を守っていれば、大なり小なり「頭が良くなる」ということに他なりません。

また、グリア細胞によって脳機能を向上させられる事実は、その後の脳科学研究を大きく発展させることになります。この実験がなければ、IPS細胞などによる脳の再生医療も今ほどには進展していなかったでしょう。

アインシュタインの脳内グリア細胞は平均のおよそ2倍

相対性理論でおなじみ、ドイツの天才科学者「アインシュタイン」もまた、グリア細胞と脳機能の関連を示すデータの1つです。

アインシュタインの死後、彼の脳組織が世界中に配布されると、「一般人の脳との違い」を各地の研究者が熱心に調べはじめます。結果として、ニューロンの数に一般人との明確な差異はなかったものの、グリア細胞に関しては平均の2倍以上の数を有していたことが判明しました。

もちろん、サンプルが一人きりでは何の仮説も立ちません。しかし、将来的にIQとグリア細胞量の相関関係が証明されれば、幹細胞移植による知的障害や精神疾患の根治も十分可能になると予想されます。

グリア細胞を増やす方法3選

グリア細胞

脳細胞を増やすといっても、特に難しいことを始める必要はありません。適度な運動や栄養を意識した食生活など、健康を維持するための一般的な取り組みだけでも、グリア細胞は着実に増えていきます。

それらに加え、読書や旅行などで新たな知識・経験を日々インプットしていけば、記憶力の向上程度は容易に実感できるようになるでしょう。

脳に必要な栄養素の摂取

グリア細胞の増殖、およびニューロンの成長に効果的な栄養素は主に以下の通りです。

  • ブドウ糖:果実に多く含まれるほか、米やパンの糖質もブドウ糖の基となる
  • アミノ酸:肉や魚、卵に乳製品と幅広い食品に含まれる
  • ビタミンB3:レバー、ささ身、落花生、舞茸などに多く含まれる
  • ポリフェノール:主に茶葉やカカオ、大豆食品から豊富に摂れる

健康維持と聞くと、まず菜食をイメージする人が多いことでしょう。しかしグリア細胞を増やすのであれば、肉・魚・穀物を含めたバランスのいい食事が欠かせません。

ストレッチなどの適度な運動

脳内で成長因子を分泌させるには、とにかく神経を働かせ、脳の代謝を促すことが先決です。そして、脳と身体が末梢神経でつながっていることを考えれば、運動こそが神経を刺激する最も効率的な方法といえるでしょう。

運動といっても、スポーツジムなどでガッツリ汗を流す必要はありません。ストレッチやエクササイズなどが効果的なほか、冷水を触るなどして知覚神経を刺激するだけでも、グリア細胞の成長にいい影響を与えます。

読書や旅行などによる情報のインプット

筋トレで筋肉がつくように、記憶の機会を増やすことは記憶力の成長に直結します。普段から読書や会話を盛んに行い、常日頃から新しい情報が入ってくるような生活を心がけましょう。とりわけ、適度な運動と情報のインプットを同時に行える「旅行」がおすすめです。

もちろん、脳機能を総合的に向上させようと思ったら、情報のインプットだけでは足りません。日頃から問題意識を高く保ち、思考と行動による情報のアウトプットを続けることこそが、グリア細胞を増やすうえで最終的に必要なことといえるでしょう。

グリア細胞が減る原因3選

グリア細胞

グリア細胞は加齢によって自然と減少していくほか、不摂生やストレスなども神経の損失に関わっています。以下で詳しく見ていきましょう。

加齢

人の脳内では、加齢に従って代謝酵素「ピルビン酸カルボキシラーゼ」の分泌量が増えていきます。この酵素自体は、脳の主要な栄養分(グルコース)の基となる「オキサロ酢酸」、および興奮性伝達細胞の「アスパラギン酸」を生成する重要な細胞です。

しかし、代謝酵素の分泌量があまりに増えすぎると、神経にとってはマイナスの効果しか及ぼしません。

まず、大量のアスパラギン酸による過剰な興奮性伝達は、グリア細胞やニューロンの損傷に直結します。また加齢によって糖代謝が減少したところに大量のグルコースが蓄積すると、耐糖能異常と呼ばれる状態に陥り、末梢神経のシュワン細胞にも悪影響を及ぼします。

日常的な不摂生

脳に必要な栄養を日頃から摂取していなければ、新たなグリア細胞は十分に産生されません。既存の細胞がいずれ代謝の過程で死ぬことを考えれば、不摂生がグリア細胞の減少につながることは想像に難くないでしょう。

特にジャンクフードやインスタント食品ばかり食べていると、インスリンの過剰分泌によって脳の働きが弱まるうえ、酸化脂肪によって脳の血流も阻害されるため、健康上非常に危険です。

慢性的なストレス

近年の研究で、グリア細胞の主成分であるアストロサイトは、その働きの大小を心理状態に左右される細胞であることが分かってきました。具体的には、ストレスを感じた際に脳内で放出される「ノルアドレナリン」が交感神経を刺激し、その作用が記憶の定着に寄与していることを示す研究です。

逆にいえば、慢性的なストレスによって交感神経が過剰に刺激されると、それ即ちアストロサイトの損傷につながるということになります。

グリア細胞は何歳になっても増やせる

グリア細胞

ひと昔前は、脳細胞といえば胎児のうちに増殖が終わり、老後はひたすら減っていくものだと考えられてきました。しかしアメリカのソーク研究所が行った調査にて、脳細胞は70歳を過ぎても分裂・増殖し続けるということが判明しています。

ご高齢の方もぜひ、先述の「グリア細胞を増やす方法3選」を実践してみてください。しばらく継続した暁には、多少なりとも脳の若返りを実感できることでしょう。

まとめ

グリア細胞

グリア細胞は、ニューロンの健康な状態を支えつつ、自身も神経伝達に大きく関わっている細胞です。グリア細胞は加齢によって自然に減少するものの、生活習慣を改善したうえで新たな知識・経験を求め続けていれば、何歳からでも増加に転じさせることができます。

本記事を通じて脳科学に興味を持たれた方は、ぜひ脳を構成する他の組織についても調べてみてください。そこにはきっと、あなたの脳を若く保つための秘訣が眠っているはずです。

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