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根本治療とは?対症療法との違いとメリットやデメリット、再生医療との関係性まで徹底解説!

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院長 黒木 良和

九州大学医学部卒
九州大学大学院修了 医学博士
川崎医療福祉大学客員教授
元神奈川県立こども医療センター所長
元聖マリアンナ医科大学客員教授

同じ病気の再発を繰り返し、「いつまで治療が続くんだ」と頭を抱えたことのある人は少なくないでしょう。こうなる原因の多くは、病院側が「症状を抑えるための処置」しか行っていないことにあります。この処置が、いわゆる対症療法です。

それに対し、本記事で紹介する「根本治療」は病気の原因自体を取り除くため、長期的な再発症の防止を見込めます。以下より根本治療のメリット・デメリット、および根本治療を受けられる医院などを紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

根本治療=症状の原因となる身体の状態を改善する治療法

根本治療

根本治療とは、一言でいえば「症状の大元を断ち切る」医療です。例えば虫歯治療の場合、虫歯菌が生じている歯を神経ごと除去するのが根本治療にあたります。

また根本治療において、治療の対象になるのは患部だけではありません。なぜなら脚の筋肉の衰えが腰痛につながるように、症状の原因が患部と全く別の場所にあることも少なくないからです。

いずれにしても、症状を原因から取り除くには、習慣的なケアによって「症状が出にくい身体」を作る必要があります。以上が、根本治療の基本的な考え方です。

症状による苦痛を緩和する「対症療法」とは全くの別物

根本治療

対症療法とは、症状がもたらす苦痛を緩和することにフォーカスした医療です。再び虫歯治療を例にすると、内服薬の処方で痛みを抑えたり、虫歯の露出部分にのみレーザーを照射したりといった治療が対症療法にあたります。

これらの治療だけでも、食事の際に歯が痛むことは当面なくなりますが、あくまでも「当面」にすぎません。歯の内部に巣食う虫歯菌が成長すれば、再び同じような症状に見舞われます。

そして、対症療法が根本的な治癒に繋がらないのは、歯以外でも同じです。肩だけ揉んでも肩こりは治りませんし、鼻炎薬をいくら飲んでも花粉症は治りません。真に体の不調を改善するには、根本治療への取り組みが必要不可欠なのです。

根本治療を採用している主な医院

根本治療

整体院や歯科クリニックなどは、根本治療を治療法の柱としている代表的な医院です。整体院では姿勢の矯正、歯科クリニックでは歯磨き指南といった具合に、どちらも術後の生活指導を絡めた根本治療を実施しています。

また耳鼻咽喉科やアレルギー科の多くは、花粉などの原因物質をあえて体内に入れる免疫療法を実施していますが、これもある種の根本治療といえるでしょう。

整体院

整体院では、患部がどこかに関わらず身体全体を検診するのが一般的です。そのうえで凝りやむくみ、筋肉の衰えといった不調の原因部分を特定し、それを改善するための施術や生活指導が行われます。

身体全体にわたって筋肉や骨格のバランスが整うことで、首肩から足先まで全身の不調改善を見込めるのが整体院のいいところ。シンプルに体調を崩しにくくなると考えれば、整体院が提供するサービスはある意味究極の根本治療といえるでしょう。

なお、整体院によく似た名前の「整骨院」は、あくまで骨折などの外傷をケアするための医院なので間違えないようにしてください。

歯科クリニック

歯科クリニックにおいて、根本治療とは主に「根管治療」のことを指します。歯の疾患がどこまで及んでいるのかを神経1本単位で調べたのち、汚染されている神経を直接抜くのが根管治療の流れです。

神経を抜くために歯自体も削る必要があるものの、削った部分は被せ物で補えるため、その後の食事に特段の支障は出ません。汚染された神経が残る「抜歯」とは、比べ物にならないほど効率的な治療法といえるでしょう。

もちろん、今ある歯の異常の元を除去して「はい終了」ではありません。再発を防止するための歯磨き指導を受け、それを患者側が日々遵守してこその根本治療です。

耳鼻咽喉科・アレルギー科

耳鼻咽喉科やアレルギー科では、アレルギー反応そのものを無くすため、原因物質をあえて患者の身体に入れるという治療がしばしば行われています。

中でも有名なのが、舌下免疫療法。原因物質を含む治療薬を、舌の上で一定時間保ってから飲み込むという治療法です。

今のところは効果の個人差が大きく、根本治療と呼ぶにはまだまだ不確実。しかし研究が進めば、将来的には鼻炎に悩む人が大幅に減ることでしょう。

根本治療のメリット

根本治療

根本治療は症状を原因から解決するため、健康な体を長期にわたって維持することにつながります。また、対症療法ほどの即効性はないものの、症状の苦痛から解放されること自体は変わりありません。

症状が再発しにくくなる

虫歯なら汚染された歯神経、鼻炎ならアレルギー反応といった具合に、根本治療では症状の原因自体を断ち切ります。その後は新たな「原因」を作らない限り、再び症状に侵されることはありません。

もちろん、根本治療を行うあらゆる医院では、治療後の生活指導が丁寧に行われます。それを守ってさえいれば、長期的な病気の予防はそれほど難しくないでしょう。

身体全体の調子が良くなる

人の身体というのは、様々な部位・器官が連動することで機能を維持しています。ゆえに「症状が出ている部位」と「症状をもたらしている部位」が、全く別の箇所であることも少なくありません。頭痛1つとっても、その原因は肩こりだったり鼻づまりだったりと様々です。

しかし根本治療によって不調の原因を取り除けば、その原因が全身にもたらす諸症状をまとめて改善できます。とりわけ整体院では全身が快調になっていくのを特に実感できるので、気になる人はぜひとも一度利用してみましょう。

健康的な生活習慣が身につく

根本治療では、治療後に必ずといっていいほど生活指導が行われます。具体的には整体院なら運動面、歯科なら歯磨き、耳鼻科なら住環境についてのアドバイスがメインです。

これらのアドバイスを実行していれば、健康的な生活習慣は自然と身につきます。そうなれば治した症状の再発を防げるだけでなく、「そもそも病気にならない」身体を目指せるので、根本治療ではぜひ最後まで医師の指導に従うよう心がけてください。

根本治療のデメリット

根本治療

ここまで様々な医療分野の根本治療を紹介してきましたが、その全てに共通するのは「治療完了までに時間がかかる」という点です。それも単に長期の通院が必要というだけでなく、その間に生活習慣などの面で患者自身が努力を続けなければいけません。

治療が長期化しやすい

どんな病気であっても、症状の原因を一朝一夕で断ち切るのは不可能です。本記事で紹介した根本治療の中でいうと、最も短い歯科の根管治療で2~3週間、耳鼻科の舌下免疫療法では3年前後の通院が求められます。

整体に関しては通い始めで週1~2回、ある程度の時期からは月1回での通院が一般的であり、原則「治療終了」という概念はありません。

患者自身の努力が必要不可欠

病気を根本から治すには、長期間の通院と同時に、日常生活における予防の努力も継続する必要があります。歯の治療中なら歯磨きを丁寧に行う、鼻の治療中なら部屋をこまめに掃除するなど、身近な努力から始めていきましょう。

予防の努力を正しく行えているか、少しでも不安がある場合は、治療終了後も定期的に来院して医師の指導を仰ぐのがおすすめです。

根本治療と対症療法は組み合わせて行うのが一般

根本治療

ここまで、「対症療法の治療効果は一時的なもの」という主張を軸に、根本治療の重要性を解説してきました。しかしこれは何も、対症療法を行うなという意味ではありません。

むしろ、根本治療は対症療法と組み合わせてこそ真価を発揮します。症状による目の前の苦痛を除去し、大きな負担なく日常生活を送れる状態になってこそ、長期の通院や予防の努力を継続できるようになるのです。

近年話題の「再生医療」も根本治療の一種

根本治療

再生医療とは、人工的に培養・増殖した細胞を患者の身体に移植する治療法です。京都大学の山中教授らが開発した「iPS細胞」あたりは、聞いたことのある人も多いでしょう。

現状は多くの治療法が臨床段階であるものの、将来的に多くの病院で再生医療が提供されるようになれば、様々な難治性疾患が根治可能な病気になると期待されています。

将来的に根本治療が可能になると期待されている病気

根本治療

再生医療による根本治療が可能とみられている病気の中で、特に待望されているのは「ガン」「認知症」「パーキンソン病」の3種です。それぞれの病因や再生医療の影響について、以下で大まかに見ていきましょう。

ガン

ガン細胞そのものは、何もしていなくても毎日数千個ほど生まれます。このガン細胞を日々退治しているのがリンパ球などの免疫細胞であり、この免疫力を衰えさせるものこそが、ガンの原因としてよく挙げられる生活習慣病です。

そして再生医療の世界では、衰えた免疫細胞を再生させる「免疫細胞療法」の研究開発が急速に進められています。この技術が確立されれば、ガンに対する根本治療として同病気の完治率を大幅に高めてくれるはずです。

もちろん、既存の根本治療と同じように、長期的な生活習慣の改善も要求されることでしょう。

パーキンソン病

パーキンソン病とは、中脳・大脳間の神経伝達に関わる「ドーパミン神経細胞」が減少することにより、様々な運動障害をきたす病気です。ガンなどとちがって明確な原因はなく、治療法に関してもこれまでは薬物による対症療法か、脳に電極を埋め込む手術くらいしかありませんでした。

そして、再生医療の世界でパーキンソン病への特効薬として期待されているものこそが、先ほど挙げたiPS細胞です。マウスを用いた過去の治験では、iPS細胞の誘導作用によってドーパミン神経細胞が脳に行き届き、実際に症状改善をもたらすことが確認されています。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、海馬をはじめとした脳の萎縮によって進行性の記憶障害が現れる病気です。この病気を患った脳には、アミロイドβなどのタンパク質が異常に蓄積しているという特徴があります。

そして現状、アルツハイマー型認知症の根本治療に最も有効とされているのが、再生医療の一種である「幹細胞治療」です。この治療法では神経幹細胞を脳へ誘導し、脳内の神経細胞および周辺組織を再生させることで、病気の大元であるアミロイドβ等の蓄積を抑えることができます。

まとめ

根本治療

根本治療は病気の原因を解決する医療であり、いざ解決された後は長期にわたって症状の再発を防ぐことが可能です。整体院や歯科クリニックなどでは既に取り入れられている医療ですが、将来的にはガンや認知症といった様々な難病への応用も期待されています。

根本治療の考え方についてより詳しく知りたい人は、本記事で紹介した医院のいずれかを利用する際、医師に直接聞いてみてください。

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