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話題の再生医療は美容効果に期待できるのか?気になる種類や特徴、費用や副作用などのリスクについて解説

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院長 黒木 良和

九州大学医学部卒
九州大学大学院修了 医学博士
川崎医療福祉大学客員教授
元神奈川県立こども医療センター所長
元聖マリアンナ医科大学客員教授

再生医療は病気や事故などで失われた身体の組織を再生させる医療技術で、肌の再生医療はもともと持っている自然治癒力と肌を守る力を活かして、肌の細胞を活性化して10歳若い肌を取り戻したり、老化の進行を遅延することが期待できます。

肌の再生医療は「PRP療法」と「線維芽細胞療法」の2種類が代表的で、いずれもご自身の肌細胞を使って行う治療法のため、副作用のリスクが低く、年齢関係なく治療を受けることができます。しかし、再生医療は高い、デメリットはあるのかと思っている方はまずは再生医療について理解しておきましょう。

今回は肌の再生医療の美容効果と種類や特徴などを解説します。

再生医療とは

再生医療 美容

再生医療とは、病気や事故などの理由で失われた身体の組織を再生させること目指して開発された医療技術です。

例えばダメになった臓器を治療する際、患者の幹細胞(血液)を採取し、培養によって幹細胞を増やして新しい臓器を再生し、患者の身体に移植します。通常の治療では治すことが不可能だったのが、再生医療では可能にするため、根本的な治療になり得る優れた治療と言えるでしょう。

肌の再生医療とは

肌の再生医療とは、化粧品や通常の皮膚科・美容外科の治療が困難だった肌の治療が再生医療によって可能にする治療法です。年々年を重ねると、若い頃に比べてしわやたるみなどが増えていきます。しかし、女性は年齢を重ねても「若々しさ」や「美しい肌」を求めます。

もともと持っている自然治癒力と外的刺激から肌を守る力を活かして、最新の医療技術で作り出し、若い時のような美肌を持続させます。肌の再生医療によってこれまで避けられなかった肌の老化の遅らせ、若者のような美肌を取り戻すことが可能になります。

再生医療と美容への効果

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肌の再生医療はこれまであきらめていた肌の老化を防ぎ、若者のような美しい肌を取り戻すことが可能な治療法です。肌の再生医療を受けることによってしわやしみ、たるみなどの肌トラブルを改善し、若い頃のようなハリと弾力を取り戻してうるおいのある肌にする効果が期待でき、同時に肌の老化の進行を遅延する効果が期待されます。

まずは、肌の再生医療で期待できる3つの美容への効果のメカニズムを見てみましょう。

肌老化の症状を改善する

加齢によるしわやしみ、たるみが目立ち、同時に潤いやハリ・弾力が失われてきます。

肌の再生医療は肌の中にある肌細胞の数を増やして肌の働きそのものをよみがえらせるため、しわやたるみなどの肌トラブルが改善されて、10歳若返らせることが可能になります。

肌老化の予防・進行を遅らせる

肌の再生医療は細胞を移植して増やすことで肌組織が生まれ変わり、肌の老化現象の進行を抑えるようになります。新しい細胞が体に定着するまで半年から1年くらいかかるため、即効性がある従来の美容医療の治療法よりも比較的ゆっくり効果が現れます。

施術後は新しい細胞が活き続けるため、活動し続ける間は肌老化の進行を遅延することが可能になります。

美肌を持続させる

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肌の再生医療は加齢によって失った細胞を増やして活発化させるため、若い頃のようなハリと弾力を保ち、美肌状態をキープさせることができます。

肌の再生医療によってコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸、たんぱく質などが正常に生成されるようになります。

再生医療で使用される幹細胞の種類

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肌の再生医療は病気やけがの再生医療とは根本的に同じです。再生医療は人の細胞や再生機能を使い治療する医療のことで、肌の再生だけでなく、さまざまな治療に用いられます。

再生医療には人の身体から採取した「幹細胞」が必要で、いろいろな組織や臓器になる未分化の細胞を使用して治療を行います。現在、治療や研究で使用されている幹細胞は以下の3つです。

ES細胞

ES細胞は1998年に不妊治療(体外受精)で余った受精卵で研究され、さまざまな細胞に分化する細胞のことで、肝性幹細胞とも言います。ES細胞は分化能力が高く、他の幹細胞よりも多くの組織や臓器になる可能性を秘めているため、「万能細胞」と呼ばれることがあります。

しかし、もともとは赤ちゃんになるはずだった細胞を利用することから、倫理的な問題を有しています。また、拒絶反応が起こったり、腫瘍・がんになるなどのマイナス作用に働くことがあるとされています。

iPS細胞

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iPS細胞は2007年に「京都大学iPS細胞研究所」名誉所長・教授の山中伸弥氏らが研究・開発した細胞で、皮膚の体細胞を採取し、多数の遺伝子を加えて生成する細胞です。

基本的に幹細胞は一度組織などに分化したら元に戻らないと考えられていましたが、iPS細胞はこの常識を覆した画期的な発見で、ES細胞が抱えていた倫理的な問題も解決することができる点でも注目されています。しかし、ES細胞と同様に腫瘍・がんになる可能性があると言われています。

体性幹細胞

体性幹細胞は骨髄や脂肪などに含まれる幹細胞のことです。体性幹細胞はさまざまな種類がありますが、その中の「間葉系幹細胞」は骨や軟骨などの結合組織系に分化していく力があります。

他の幹細胞に比べて身体への負担が軽く、重篤な副作用などの問題がないと報告されており、多くの医療で応用されています。

再生医療の治療法の種類と流れ

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ここで肌の再生医療の治療法の種類と流れを紹介します。肌の再生医療の治療が行われている治療法はさまざまですが、代表的なものが「PRP療法」「線維芽細胞療法」の2種類です。

いずれもご自身の身体から幹細胞を増やして培養し、肌に移植する治療法です。人工物は一切使わず、副作用の心配もありません。2種類の治療法について、治療の流れも含めて解説します。

PRP療法(PRP皮膚再生療法)

PRPとは多血小板血漿のことで、多血小板血漿(PRP)を用いた治療のことをPRP療法(PRP皮膚再生療法)といいます。PRP療法は傷を負った皮膚にかさぶたを作ることで細胞の修復を促す血小板の原理を活用した肌再生療法です。PRPはスポーツの傷や膝の変形などが起こった際にも用いられます。

PRPをしわやたるみなど気になる部分に導入することにより、肌の修復・再生効果が期待できます。ご自身の血液を使うため、アレルギー反応や副作用はほとんどありません。

線維芽細胞療法

線維芽細胞は皮膚の真皮に存在するため、真皮線維芽細胞とも言います。線維芽細胞は肌にハリと弾力を与えてくれるコラーゲンなどの成分を生み出し、新陳代謝をスムーズに行う働きがあります。

線維芽細胞療法はご自身の肌細胞を培養して、自分の肌に戻す治療法で、線維芽細胞の数を増やして活性化させて再び肌の中に戻すことで、若いころのような肌の状態に戻すことが期待されます。持続期間が長く、1度の採取で数回の注入が可能なメリットもあります。

治療の流れ

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先ほど紹介した2つの治療法の大まかな治療の流れを紹介します。

治療の前にまずはカウンセリングを受けます。カウンセリングでは患者の悩みや不安点・不明点を医師に相談し、医師が現在の肌状況などを確認し、治療の紹介や効果、施術のリスクなどを説明されます。

治療を受ける場合は感染症の有無や健康状態を確認するため、血液検査を行い、異常がなければ治療開始となります。

PRP療法の場合は採血を行い、水光注射、気になる部分に直接注射を行います。採血と同日に施術が可能です。

線維芽細胞療法は脂肪を採取してから培養します。培養した幹細胞をご自身の身体などに点滴投与を行います。幹細胞の培養は早くても3~4週間ほど時間がかかるため、幹細胞を投与するまでにある程度の時間がかかることを考慮しましょう。

再生医療にかかる費用

再生医療 美容

肌の再生医療の治療は他の美容医療と同様、全額自己負担のため、希望される方は毎月の費用を考えて選択しましょう。カウンセリングは無料で行っているところがほとんどです。

治療料金は以下の通りです。

<線維芽細胞療法>

  • 血液検査:12,000~15,000円前後
  • 培養料:400,000円以上
  • 移植料(1㏄あたり):120,000円前後

線維芽細胞療法の場合、血液検査で12,000~15,000円前後、培養料は細胞の量によりますが、初期で400,000円以上かかります。移植料は1㏄あたり120,000円前後で、目や顔などの部位別の移植料は250,000~800,000円前後かかります。これ以外にも保管手数料や麻酔料もかかります。

<PRP療法>

  • PRP療法(1回あたり):50,000~200,000円前後

PRP療法は1回あたり50、000~200,000円前後で、部位によって費用が異なります。3回以上の場合は200,000~500,000円前後かかります。

肌の再生医療全体の平均料金は安くても30,000円前後、一番高い治療では1,000,000円以上かかりますので、いつまでやるのかを計画的に決めておき、ご自身の自己資金と相談しながら検討しましょう。

再生医療のメリット・デメリット

再生医療 美容

再生医療の種類や肌の再生医療の治療法、料金内容は分かったけど、再生医療で本当に肌が10歳若くなるのか、本当にしわやたるみがなくなるのか、ちゃんと美肌に戻るのかと期待と不安があります。美容整形はリスクがあるけど、再生医療はメリットとデメリットはあるのかと心配する方もいます。

ここでは肌の再生医療の受ける上でのメリットとデメリットを紹介します。

再生医療のメリット

肌の再生医療のメリットは以下の通りです。

  • 副作用のリスクが低い
  • 細胞の保管ができる
  • 治療の年齢制限がない

肌の再生医療はご自身の肌細胞を移植するため、拒絶反応などがなく、副作用のリスクが低いことが挙げられます。

線維芽細胞療法の場合、ご自身の肌細胞を採取して培養するため、培養した肌細胞は冷凍保管をして保存でき、いつでも治療を受けることができます。

また、肌の再生医療は年齢制限がなく、60歳以上の方でも施術を受けることができます。

再生医療のデメリット

肌の再生医療のデメリットは以下の通りです。

  • ダウンタイムがある
  • 効果がないと感じてしまう
  • 安価な治療ではない

ダウンタイムとは、施術を受けてから通常の生活に戻るまでの期間のことで、症状や期間は施術内容や状態によって異なります。肌の再生医療は治療によっては麻酔を使用するため、注射の際の赤みや内出血が起こる場合があります。

肌の再生医療は施術を受けてすぐに効果が実感できる治療ではなく、早くても3ヶ月から半年ほどかかります。即効性を求めている方は肌の再生医療は向いていません。

費用は先ほど紹介した通り、100,000~1,000,000円以上はかかります。例えば培養の場合、採取した患者の肌細胞を培養し保管する必要があり、細胞加工施設の管理費用や人件費などのコストがかかります。

副作用などのリスクは?

再生医療 美容

通常の美容医療はメスを使う治療や異物を注入する治療が中心のため、中にはトラブルが起きているケースもあります。国民生活センターによりますと、美容医療サービス関する相談件数が2019年では2036件ですが、2021年では2764件と増加傾向にあります。

(参考:https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html

美容医療サービスのうち、危害に関する相談では施術後の健康被害が出ており、中には仕事に支障が出るなどの問題が起こっています。

では、肌の再生医療はトラブルが起こっているのかと心配されている方もいます。再生医療に限らず、治療には多少のリスクがあり、100%安全な治療はありません。肌の再生医療は施術後のダウンタイムが生じますが、時間とともに解決されます。肌の再生医療はメスを使わず、ヒアルロン酸などの異物を使用しません。ご自身の肌細胞を使うため、副作用のリスクが低いとされています。

また、肌の再生医療は厚生労働省が認可した特定認定再生医療委員会に「再生医療等提供計画」を提出し、認可が下りた医療施設でないと治療を行えません。再生医療を受ける際は厚生労働省に認可された医療施設で受けることをおすすめします。

(参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186471.html

まとめ

再生医療 美容

肌の再生医療は通常の美容外科や皮膚科の治療が困難だった肌の老化の予防と改善や進行を遅延させたり、若い頃の美肌を持続させる効果が期待されます。

肌の再生医療の治療法は「PRP療法」「線維芽細胞療法」などがあり、いずれも患者自身の肌細胞を使用するため、通常の美容医療のようにメスや異物を使わず、副作用のリスクが低いとされています。肌の再生医療の料金は平均で30,000~1,000,000万円前後で、線維芽細胞療法の移植料が1㏄あたり120,000円前後、培養料が400,000円以上、PRP療法が1回あたり50,000~200,000円前後かかります。

肌の再生医療の治療は副作用のリスクが低いですが、100%安全な治療ではありません。肌の再生医療を受ける際は費用や施術のリスクなどを考慮し、厚生労働省が認可した医療施設で受けることをおすすめします。

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